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| 練習試合で好投した金城宰。甲子園での投球に期待がかかる=7月31日、対北中城戦 |
投手力
目指せ甲子園初勝利―。第86回全国高校野球選手権大会は7日から兵庫県の阪神甲子園球場で開幕する。参加は49代表校。沖縄県代表は2年ぶり2回目の出場となる中部商業。大会第6日(12日)の第3試合で酒田南(山形)と対戦する。中部商は持ち味の伸び伸び野球で甲子園初勝利を呼び込み、さらに上位進出を目指す。中部商の戦力面の特徴や意気込みを紹介する。
投手は県大会を中心になって投げた2年生右腕の金城雄二と決勝戦で復調した大型左腕金城宰之左の2人が核で、バッティングもいいサイドスローの新崎広之、MAX143キロの仲地国也らが控える。金城雄は「調子はまあまあ。フォークなど自分の得意な変化球で打ち取りたい。キャッチャー目掛けて投げるだけ」と気負いはない。
対沖水との県大会決勝戦での見事な復活が話題を呼んだ金城宰はここにきてコントロールが安定してきた。甲子園入り直前の練習試合。全力投球ではないものの、打者の手元で伸びる速球で三振を奪い、仕上がりの良さをアピールしていた。
7月29日の北中城戦では1イニングをわずか6球で終わらせる場面もあり、力で抑え込まず、緩急で打たせて取る投球術も身に付けつつある。さらに8月1日の糸満・沖尚混成チーム戦も1イニングを無難に抑えた。「カーブを投げるポイントがつかめてきた。ストレートも決まれば打たれない自信はある」と金城宰。練習試合2試合で4イニングを投げたが失点は0で安心して見ていられる内容だった。上原忠監督は「金城宰の球はビュンと伸びてくるので、打者はかなり高めでも振ってしまう」と復調に満足そう。
1日の練習試合で「いいね。いいね」と上原監督が盛んに褒めたのが控え投手の1人久銘次良樹の投球。県大会での登板機会こそなかったが130キロ台後半の速球はキレがよく、ポンポンとリズムよく投げ込んだ。「甲子園で出番が来たら思いっきり投げたい。出場できることに感激しながらプレーしたい」と登板を心待ちにしている。
「安定感のある金城雄。金城宰もいい時の調子に戻っている。新崎も仲地もいる。久銘次もいい」と上原監督。投手陣についてはだれをどこで投げさせるかで頭を悩ませそう。先発投手、そして継投が大きなポイントになってくる。(崎浜秀也)
打撃・機動力
攻撃についてはこれという形を決めていないのが中部商業の特徴だ。県大会でもバントやエンドランなど足を使った機動力野球を見せたかと思えば、準決、決勝では徹底的に強攻策に出た。上原忠監督は「いろんなバリエーションをもっている。対戦相手を見極めながら臨機応変にやっていく。基本的には足を絡める機動力野球だが、それだけではない」と攻撃の“引き出し”の多さを強調した。
4番の新垣昌生は県大会で5割を超える打率を残し、本番でも期待がかかる。が、上原監督が注目するのは百メートル11秒台の那覇瞬、新城尚志の俊足1、2番コンビ。那覇は練習試合でバント安打を決める一方で長打も放ち、センスの良さを見せた。「甲子園ではセーフティーバントとか盗塁も決めたい。雰囲気を盛り上げるためにも出塁したい」と自慢の足でチャンスを演出する考えだ。
上原監督は「4番バッターよりも1番を重視している。塁に出てくれれば攻撃の可能性が広がる。うちの1、2番は足もあり長打もある。野球センスもいい」と褒めた。
甲子園出発前の最後の実戦となる練習試合では打撃陣の好調さが目を引いた。北中城戦では1イニングで10点を挙げる集中打、糸満・沖尚混成チーム戦も効果的な得点で9点を奪った。
クリーンアップも元気なところを見せた。3番仲里孝太はシュアなバッティング。「緊張すると足がガクガクする。甲子園は雰囲気がすごくてお祭りみたいな感じ。雰囲気にのまれないようしたい」と気を引き締めた。
5番平田太陽は上背はないものの、パンチ力があり本塁打も放った。県大会決勝戦で活躍した6番の人気者の巨漢阿波根直幸も右に左に器用に打ち分け調子は良さそう。「以前は4番も打っていたが打順は関係ない。足は遅い方だが、チームの勝ちを優先に常に次の塁を狙いたい。チャンスではランナーをかえす、状況に応じたバッティングをしたい。東北高校のダルビッシュ有は有名人だし、ぜひ対戦してみたい」と目を輝かせた。
7番名嘉真宜之もクリーンヒットを放ち下位打線も切れ目がない。
「いぶし銀」(上原監督)の8番宇江城彰悟は小兵ながら県大会でチーム1の打点8を挙げ勝負強い。
県大会の決勝でも貴重な追加点となる適時打を放った控え投手の新崎広之は相変わらず打撃が好調で、「打」での出番もありそう。(崎浜秀也)
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| 実戦形式で12日の初戦に向けた練習に励む中部商業ナイン=10日、兵庫・尼崎市記念公園球場 |
主体性
中部商野球の最大の特徴は選手の自主性にある。練習の組み立てからミーティングもすべて選手中心。監督はナインを鼓舞するキャプテンの役割だ。ノーサインの場面も多く、選手は自ら考え、行動する主体性を身に付けている。
伝令のタイミングも選手自らが図る。「監督が『今行け』とか『こう言ってこい』では伝令役は単なる伝書バト。子供たちには創造性や発想力がある」と上原忠監督。
沖水との県大会決勝戦。勝ちが濃厚となった九回裏二死から伝令が出た。流れは完全に中部商。普通に考えればわざわざ伝令は出なくてもいい場面だ。三塁コーチャーも務める久場瑛がマウンドに駆け寄った。「あと一人になり、安心してしまう場面。『気を抜くな』と伝えた」と久場。盛り上げ役にいさめ役。監督が「その存在は大きい」と認める貴重なムードメーカーだ。
選手が監督の役割の一部を担ってくれるため、その分、監督は選手交代や作戦などの戦略面に集中できる。県大会決勝戦で大方の予想を裏切るように金城宰之左を投入した思い切りと勘の良さがさえわたるのもそのためかもしれない。
「送ってもいい。打ってもいい」。上原監督は、度々選手に選択を任せるサインを出す。「監督に動かされるのではなく、自ら考える野球をつくってきたから」 しかし、昨年夏、新チームになって直後は自主性をまったく与えていなかった。罵声の嵐だったらしい。「プレーも何一つ満足にできないのに自主性なんかあるわけない。当時は『言われたことをやれ』だった。今は一人前になったので任せている。頼もしくなったと思う」と上原監督は1年を経て成長した選手たちを頼もしく見つめる。
「人が良すぎる。優しすぎる。お前がきちっとやれば勝てる」とリード面の弱さなどを監督から叱咤され一番多く怒られたという捕手の新垣昌生。「打者の狙いを外す配球を勉強してきた。いかに投手に気持ちよく投げてもらうかを考えてやりたい」と話し、「やらされる野球ではないんです」と笑顔で話した。
中部商が練習するグラウンドのボードには「日本一の切り替え」の文字。試合でも練習でも「切り替え!」「切り替え!」の声が飛ぶ。
「失敗を許す」「ミスは次に生かす」が上原監督の方針。甲子園でも主体性をもった伸び伸び野球ができれば活路は開けてくるはずだ。(崎浜秀也)
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